西国三十三観音霊場巡りの旅 興福寺・南円堂

興福寺・南円堂

寺伝

669年に藤原鎌足の婦人である鏡女王が京都に山階寺を建立したのが始まりです。壬申の乱の後、飛鳥に都が戻った際に山階寺も移建され、厩坂寺と名付けられました。710年には藤原不比等が平城京遷都にともない、寺を移転して興福寺と改名しました。南円堂は813年に藤原冬嗣が父である内麻呂の追善供養の為に建てたものです。

巡礼記

訪問日:平成19年11月2日

今回はまだ訪れていない奈良の三寺、興福寺、壺阪寺、岡寺に行くことにしました。横浜から奈良に行くのに、JR東日本が販売している奈良・大和路フリーきっぷを使いました。この切符はフリー区間内のJR、近鉄、バスが乗り放題になるので便利な切符です。同様な切符としてJR東海が販売している奈良の遊々きっぷもあります。フリー区間や乗車できる電車が異なりますので旅行の目的地などに合った切符を購入しましょう。

JR奈良駅で下車しました。いつもは駅から歩いていくのですが、今回はバスが乗り放題の切符を持っているので贅沢にも(?)バスに乗って行きました。奈良公園周辺のお寺では興福寺と東大寺を訪れるつもりだったので、駅から遠い東大寺から訪れることにしました。西国三十三観音巡りで東大寺を訪れた理由は、東大寺の二月堂が西国三十三観音の番外札所であると聞いたのでそれを確かめたかったからです。

大仏殿で大仏様を拝観した後、二月堂に向かいました。二月堂に向かう階段を登りきると納経所があり、そこに「西国三十三所番外札所」と書かれた木札が掛けてありました。そしてご朱印を頂く時、「ここも西国の番外なのですか」と聞いたところ、「はい、番外は全部で七ヶ所あります」と答えられ、西国三十三ヶ所観音霊場巡拝番外と書かれた紙を頂きました。そこには、

  • 華厳宗 東大寺二月堂
  • 真言宗 高野山
  • 単立 善光寺
  • 和宗 四天王寺
  • 真言宗 法起院
  • 天台宗 元慶寺
  • 真言宗 花山院

が書かれてありました。東大寺二月堂が西国の番外札所と考えられるようになったのは、江戸時代、特に江戸からの巡礼者は興福寺南円堂周辺に来た時、「せっかくここまで来たのだから、近くにある有名な東大寺にも寄って行こう。」と考えたと思います。そして観音堂と呼ばれる二月堂にも多くの西国巡礼者が訪れたので西国の番外札所と考えられるようになったと思います。

二月堂は「観音堂」とも呼ばれ、本尊は絶対秘仏の十一面観音です。観音様にお参りした後、次は三月堂に行きました。三月堂は「法華堂」とも呼ばれ、数多くの国宝の仏像があることで有名です。本尊は不空羂索観音で、畳に座りながらゆっくり拝観することができます。そして最後は四月堂に行きました。四月堂は「三昧(さんまい)堂」とも呼ばれ、昔は本尊は普賢菩薩だったそうですが、今は千手観音です。四月堂は、二月堂、三月堂に比べて観光客が少なく、ゆっくり千手観音像を拝観しながらお参りすることができます。またお堂の方と色々話をすることも出来るので、二月堂、三月堂だけではなく四月堂も訪れましょう。東大寺は公式の番外札所ではないので寄らない方もいるでしょうが、私個人は観音様を本尊とする二月堂、三月堂、四月堂は寄ってもいいと思います。

「西国三十三所番外札所」と書かれた木札

「西国三十三所番外札所」と書かれた木札

二月堂

二月堂

そして興福寺へ。興福寺も色々拝観する場所はありますが、やはり西国三十三観音巡りで訪れたのですから南円堂に最初に行きました。東大寺もそうでしたが、興福寺も秋の観光シーズンということで修学旅行の生徒や観光客で一杯でした。よってお参りをしていても札所寺院という感じはあまり感じませんでした。これは興福寺が観光地・奈良の中心にあるので致し方ないかも知れません。南円堂で観音様にお参りをし、すぐ隣の一言観音でもお参りをしてから納経所へ行きました。そしてご朱印と散華を頂きました。慈悲の道は自由に取れるようになっていました。しかし慈悲の道は非常に古いパート2が置いてあり、びっくりしました。

南円堂その1

南円堂その1

南円堂その2

南円堂その2

南円堂と摩利支天石

南円堂と摩利支天石

その後、国宝館に行きました。訪れた時はいつもは四像しか展示されていない八部衆像が一堂に展示されていました。岡倉天心は「まだ薬師寺の仏像を見たことがない人は幸せだ。なぜなら初めて見た時の感動を味わうことができるからだ。」のようなことを言ったそうです。私個人はこの言葉は興福寺の国宝館にこそ相応しい言葉だと思います。国宝館という名前に相応しい素晴らしい展示内容だと思います。

また本坊の大圓堂に行き、今回初め公開されている本尊である聖観音像を拝観しました。しかし拝観できる場所が像から遠く、良く分かりませんでした。また説明する人もバイトのような方で既に書かれたものを読むだけというそれなりのお金を取っている割には、いまいちでした。

私はまだ南円堂のご本尊不空羂索観音像を直接拝観したことがないので、来年の九月から行われる西国三十三所結縁御開帳を楽しみにしています。南円堂の不空羂索観音像を初めて拝観する感動を早く味わいたいです。

リンク集

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