坂東三十三観音霊場巡りの旅 龍正院(滑河観音)

龍正院(滑河観音)

寺伝

昔、滑川地区が冷害に遭い、人々は飢えに苦しみました。滑河城主の小田将治は龍正院の十一面観音像に祈願すると結願の日に朝日姫と名乗る少女が現れ、小田川の朝日ケ淵に案内して姿を消しました。川には小舟を浮かべる老僧がいて、川から小さな観音像をすくい上げると将治に渡しました。将治はこの像を持ち帰り、お堂を建立して安置したところ、気候が回復し、豊作となりました。後にこの像は前述の十一面観音像の胎内に奉納されました。

巡礼記

訪問日:平成22年8月8日

JR滑河駅で下車しました。改札を出て正面の道をまっすぐ歩くとすぐに「滑河駅入口」交差点につきます。そこを右折してまっすぐ歩くと龍正院(滑河観音)に到着します。駅からの距離は約1.5キロほどで、道順は分り易いです。

お寺に近づくと本堂がまず見えてきました。立派な本堂で「やっぱり坂東観音のお寺は凄い」と思いました。本堂が立派ですので、仁王門からじっくり拝観したいという気分になり、仁王門の方に回り、そこから拝観スタートです。

仁王門は茅葺きで、とても感じの良いものでした。仁王門の中央には大きなしめ縄がありました。由来によると、享保年間に門前一帯が大火事になった時、仁王尊が大きな団扇で火をあおぎ返して寺域を守護した為に付近は大火からまぬがれたそうで、毎年正月八日に、火災を免れた地域の人々が藁を持ち寄り奉納するそうです。火災を防いだ仁王像は忿怒の表情というよりも、親しみやすさを感じました。

仁王門

仁王門

しめ縄

しめ縄

仁王像(左)

仁王像(左)

仁王像(右)

仁王像(右)

仁王門をくぐって境内に入ると、左に毘沙門天像、道祖神像が安置されていました。その隣には、弁財天堂、子安観音堂、お地蔵さん、閻魔大王、奪衣婆が祀られているお堂、弘法大師堂が並んでいました。

参道中央に戻ると、芭蕉句碑と夫婦松がありました。案内に「睦まじく樹齢を重ねた名木夫婦松」と書かれており、その姿を見ていると本当にそう思います。反対側には銅製の宝篋印塔(ほうきょういんとう)がありました。こちらも案内に「台座の格狭間部分には造営費を寄進した人々の名が多数刻まれていることは、庶民信仰の盛んであったことが知られる」と書かれており、確かに多数の人の名前が刻まれていました。

このように多数の見所を拝観しつつ、本堂に到着しました。早速、観音様にお参りです。般若心経などを読経しました。ガラス越しに中を覗くと、中央に立派な厨子があり、その前に観音菩薩、毘沙門天、不動明王像が安置されていました。

その後、改めて本堂を見ると本当に立派です。天井には、左右に迦陵頻伽が描かれており、美しかったです。中央には少し薄くなっていますが、龍が描かれていました。迦陵頻伽は絵の近くに彫り物もありました。また、本堂正面には馬のような生き物が左右に安置されていました。

迦陵頻伽(左)

迦陵頻伽(左)

迦陵頻伽(右)

迦陵頻伽(右)

馬のような像

馬のような像

本堂

本堂

そして、納経所に行き、御朱印をお願いしました。「明日8月9日でしたら、四万八千日だったのに」とおっしゃられ、機会があれば四万八千日の日に訪れたいなと思いました。ところで、浅草寺などは四万六千日ですが、二千日の違いはどこで生まれたんでしょうね。納経所ではお寺の方が気さくに声をかけてくれて、良い印象を受けました。

御朱印を頂いた後は本堂の周りをぐるっと一周しました。裏側に天満神社、金乃比羅神社、熊野神社、白山神社、稲荷神社が鎮守の神様として祀られており、お参りした後、お寺を後にしました。

巡礼のお寺では目で見るだけでなく、五感全てを使って全身で感じることが大切だと改めて思いました。境内は観音様の優しさに包まれていたと感じました。

リンク集

龍正院ホームページ 龍正院公式ホームページ