不動霊場について
不動明王は、激しく燃える火焔光背を背にし、忿怒の相で唇を閉じ、牙をむき出し、右手に降魔の剣、左手に羂索を持つお姿をしています。観音菩薩のように優しい慈悲の表情で教えを説いても容易に言うことを聞かない強い煩悩を持った人がいます。そういう人たちを降伏させるために忿怒の表情であり、全ての障害を打ち砕き、仏道に従わない者がいれば、厳しく導き、救済するという役割を果たす仏様です。
観音菩薩を祀る観音霊場としては、西国三十三観音霊場、坂東三十三観音霊場などが知られていますが、不動明王を祀る不動尊霊場は、近畿三十六不動尊霊場、関東三十六不動霊場などが知られています。三十六不動尊霊場の三十六という数字は、不動明王の眷属である三十六童子からきています。また霊場が二十八の札所から構成される場合もあります。これは不動明王の縁日が28日であることに由来しています。
不動明王を祀る寺院では護摩が厳修されます。成田山のホームページでは、
「御護摩とは、お不動さまを本尊としてその前に壇を設け、護摩木という特別な薪をたいて、諸願の成就を祈る真言密教の修法です。護摩の火はお不動さまの智慧を象徴し、薪は煩悩を表しています。護摩の祈祷を通じて、むさぼり、いかり、おろかさという心の迷いをお不動さまの智慧の炎で焼きつくし、願望を清め、すみやかに成就するよう祈念いたします。」と書かれています。不動霊場では、護摩に自由に参加できる寺院がありますので、それらのお寺を巡った時には是非、護摩に参加してみましょう。
観音菩薩が母親のような慈悲を持つとするならば、父親のような厳しさを持つ不動明王。そのような不動明王を祀る寺院から構成される不動霊場を巡ってみませんか。
更新情報・お知らせ
- 武相二十八不動霊場を満願成就し、全寺の巡礼記を書きました。