大津市にある10の寺社から構成されている湖信会は設立されてから今年で60年となります。また2015年に大津市の7の寺社が日本遺産に登録されました。これらを記念して、大津市歴史博物館では「神仏のかたち―湖都大津の仏像と神像―」展が10月13日から11月25日まで開催されています。素晴らしい仏像を拝観できるということで、10月31日に訪れました。
はじめに全体の感想を書くと、仏像が素晴らしいのはもちろんですが、説明がとても良かったです。仏像の写真に見るべきポイントが分かり易く示されており、添えられている一言も良かったです。
興味を持った説明、印象に残った仏像
No.8 薬師如来立像
説明:耳たぶ(耳朶)が外にひらくのは、平安時代初期から中期によくみられます。
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このことは知らなかったので、これから注意して鑑賞しようと思いました。
No.10-1 阿弥陀如来立像
説明:左腰を後方に引いて、左足を前に出しています。この不思議な体勢は、快慶工房の得意とした表現です。
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三尺大の阿弥陀如来立像(安阿弥様)は後世に及ぼした影響が大きく、よく見かけるので、上記の特徴があるか、今後確認したいと思います。
No.10-2 観音菩薩立像
説明:前のめりになり、膝を少し曲げて、急いで極楽から降りてきている瞬間を表しています。
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蓮台を持った来迎形式の観音菩薩像ですが、上記説明とは異なる感想を持ちました。私は膝を曲げているのは、蓮台に乗る往生する人への敬意を表現しているように感じました。このように本来とは異なる解釈も出来るのが仏像鑑賞の楽しみですね。
No.10-3 勢至菩薩立像
説明:観音よりゆっくりと往生者に向かうため、やや腰と膝をまげていますが、観音ほど深くはありません。「動の観音・静の勢至」です。
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腰と膝の曲げ方に上記のような意味があるとは知りませんでした。
No.13 大日如来坐像
石山寺の多宝塔に安置されている快慶作の大日如来像です。この仏像は私が特に好きな仏像で、初めて拝観した時の感動を今でも覚えています。今回もお会いできて、とても良かったです。
No.19 弥勒菩薩半跏像
京都市左京区にある妙傳寺が所有する像で、アルカイックスマイルがとても素敵です。是非、実物を拝観して欲しいと思います。
No.21 普賢菩薩坐像
説明は象の上に乗っている普賢菩薩のみだったのですが、象のニコニコした顔がとても印象的でした。念持仏と考えられるそうで、気を引き締めたい場合は普賢菩薩を見、リラックスしたい場合は象を見たのかなと思いました。
No.23 日光・月光菩薩立像
すらっと立っているその姿はモデルのようで、印象に残りました。
No.27 四明王像
降三世明王、軍荼利明王、金剛夜叉明王の三体(大威徳明王はパネルのみ)で、どれも格好良い象でした。降三世明王像の説明で、大自在天と鳥摩妃が逆に説明されていたと思いましたが、どうでしょうか。
No.37 大黒天立像
説明:平安時代後期以降、大黒天は大国主命と習合します。大国主命は五穀豊穣神として著名で、その影響で大黒天は俵座に乗るようになりました。
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大黒天が大国主命と習合したのは知っていましたが、それが俵に乗るようになった理由だとは知りませんでした。
最後に
鑑賞後、図録を購入しました。展示会場で見た解説が全て掲載されており、またサイズもコンパクトなので、お薦めです。
また1階に写真撮影可の地蔵菩薩坐像が展示されていました。
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