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  1. 博物館

龍谷ミュージアム 企画展「因幡堂 平等寺」に行きました

龍谷ミュージアムでは、2019年4月20日から6月9日まで、企画展「因幡堂 平等寺」が開催されています。本展示も開催を知ってから必ず訪れようと考えていた展示です。龍谷ミュージアムのホームページを確認すると、訪問する6月1日はナイトミュージアムということで、開館時間が19時まで延長され、かつ17時30分より、作品の見どころを解説するギャラリートークがあるとのことで、ギャラリートークの1時間前ぐらいに到着することにしました。

自身で拝観し、次にギャラリートークを聞きながら拝観した感想を以下に書きます。

展示

1. 平等寺 薬師如来立像

因幡堂 平等寺の御本尊であり、今回の展示の主役と言ってよい仏像です。360度から拝観できるようになっており、とても穏やかな表情をしており、如来らしい像だなと感じました。

学芸員の方によると、サクラの一木造りで、背中に木の節があるとのことで、自身で拝観している時には気づきませんでしたが、確かに背中に節があります。通常は節は避けるとのことで、一木造り、かつ霊木を用いて作られたので、節が使われたと考えられるそうです。

2. 因幡堂縁起

本尊の薬師如来像には以下のような伝説が有ります。
橘行平が因幡国の一宮に参拝し、都へ帰る時、病気になりました。そして、夢の中で僧が現れ、因幡国の海岸に霊木があると告げました。翌日、海岸で網を引くと、薬師如来像があがったので、お堂を作り、祀りました。橘行平が都に戻ると、なんと薬師如来像も都に飛んで来ました。そこで、橘行平は屋敷を改造してお堂を作り、因幡堂と名付けました。

縁起が描かれた絵巻が何点か展示されており、上記の場面が描かれており、また京都へ飛んできた薬師如来像は光背と台座は因幡国に残したのですが、新しく作った薬師如来像をその台座に乗せようとしたところ、「恐れ多い」と新造の薬師如来像が断った話があり、面白いなと思いました。

また図録のコラムに書かれてあったのですが、縁起の中の「飛来」が重要だそうです。平安京は東寺と西寺以外のお寺を建立することが禁じられていましたが、因幡薬師は飛来してきたので、洛中の真ん中に因幡薬師堂を建立することができたそうです。

12. 薬師如来像台座

因幡国から京都へ飛んできた薬師如来像が因幡国に残してきたと伝わる台座です。像に比べて台座は小さいですが、江戸時代、京都で台座と光背の出開帳があったほど、因幡薬師の縁起が多くの人に知られ、信仰を集めていたかか分かります。

13. 岐阜県延算寺 薬師如来立像

こちらの薬師如来像も因幡国から飛来したという伝説があります。像高はどちらも153センチですが、受ける印象は随分違います。平等寺の薬師如来像は都会的ですが、延算寺は田舎的に感じました。

26. 平等寺 大黒天立像

展示会で話題になっている大黒天だそうで、毎日新聞に以下のように紹介されていました

不気味かわいい? 室町時代の大黒天立像が人気 京都・因幡堂平等寺の宝物
京都市下京区の龍谷大学龍谷ミュージアムで開催中の企画展「因幡堂 平等寺」(毎日新聞社など主催)で、室町時代の「大黒天立像」が人気を集めている。おなじみの柔和なイメージとは異なり、ほぼ2頭身の異様なスタイルに笑っていない目、知り合いにいそうな表情など、一度見たら忘れがたいインパクトがあるためだ。来館者からは「ちょっと不気味」「後ろ姿がかわいい」との声も上がる。

私は拝観し、「人間味のあるお顔をしている」、「顔に人生が刻み込まれている」、「酸いも甘いも知り尽くし、如来とは別の悟った表情」のような感想を持ちました。

大黒天は一般に俵の上に乗り、ニコニコした表情をしていますが、元々はヒンドゥー教のシヴァ神と同体とされ、本像は怖い大黒天から優しい大黒天へ変化する過渡期の像とのことです。

本像は玉眼が使われており、学芸員の方が説明する時、ライトが顔に少し当たり、玉眼が光って見えました。その時の表情が全然違って見えたのが、とても印象に残りました。

最後に

因幡堂の薬師如来像は、善光寺の阿弥陀如来像、清凉寺の釈迦如来像と並び、日本三如来に数えられています。正直、善光寺や清凉寺に比べて地味な印象を受けますが、今回の展示で様々なことを学ぶことが出来て良かったです。

網で薬師如来像を引き上げる縁起

網で薬師如来像を引き上げる縁起


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コメント

    • 大ドラ
    • 2019年 6月 09日 10:13pm

    醍醐寺そのものはまだ訪ねていなくて、去年秋にサントリー美術館の醍醐寺展では五大明王像と如意輪観音像、丈六薬師三尊像が印象に残りましたが、准胝観音像のお姿を拝んだかどうか記憶がないですね。

    平等寺は以前に特別公開で訪ねて因幡薬師さまのお姿を拝みましたが、お厨子の中で頭巾か座布団のような布を被っておられるのが印象的でしたね。私も穏やかな表情で少しあどけなさも感じる仏様だと思いました。

    延算寺の秘仏本尊薬師如来立像は毎年5月5日にご開帳で、地元ながら去年初めてそのご開帳を訪ねてお薬師さまのお姿を拝みました。黒ずんだお姿で螺髪がすべて失われているのに、重厚ではなく軽やかですっきりした感じのする仏様だと思いました。

      • ラーマ
      • 2019年 6月 09日 11:06pm

      大ドラさん、コメントありがとうございます。

      私も平等寺での特別公開に訪れたことがあり、お寺で仏像を拝観するほうが好きですが、博物館では明るい中、360度から拝観できたのが良かったです。

      延算寺は来場していた方が5月5日だけの御開帳で、(博物館の展示ほど)よく見えないので、貴重だと話しているのを聞きました。同じ、因幡国から飛来した伝説を持つのに姿は結構違うものですね。

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