滋賀県甲賀市にある櫟野寺では、10月6日から12月9日まで秘仏本尊である十一面観音坐像の33年に一度の大開帳を行います。ということで、10月7日に櫟野寺を訪れることにしました。
注意:大開帳とは33年に一度の御開帳、中開帳は33年の真ん中である17年に一度の御開帳を意味します。しょっちゅう御開帳しているのに33年に一度はおかしいと思う方もいると思いますが、大開帳は33年に一度です。
草津駅から甲賀駅
JR草津駅で草津線に乗り換える為、草津線のホームに移動。折り返しの電車が到着すると側面に忍者が描かれた忍電車(SHINOBI TRAIN)でした。甲賀と言えばやはり忍者ですので、こういうのは良いですね。
電車に乗り、甲賀駅で下車。ちなみに甲賀は濁らずに「こうか」と発音するそうです。御開帳期間は甲賀駅から臨時バスが運行されていますので、改札を出た後、駅員さんから臨時バスの一日乗車券(500円)を購入しました。一日乗車券は十一面観音像の胸部をアップした特別デザインで、「18→51」、つまり、今回の大開帳2018年、次回の大開帳2051年も書かれています。
注意:臨時バスの本数はそれほど多くないので、乗られる方は必ず櫟野寺の大開帳ページで時刻表を確認しましょう。
私は午後2時46分出発のバスに乗りましたが、数人が同乗しているだけでしたので、お寺は空いているかなと予想しました。しかし、お寺の駐車場は結構埋まっており、自家用車で訪れている人が多いようでした。
櫟野寺
バスを降り、お寺の入り口に到着すると、「御本尊大開帳」と書かれた門があり、気分が盛り上がります。
そこから山門までは御本尊を模した小さな石仏がたくさん安置されていました。
山門をくぐり、境内に入ると、本堂と結縁塔婆が目に入りました。結縁塔婆があると御開帳という気分になります。
境内にある受付で拝観券(800円)を購入し、いただいた拝観順路案内に従って、堂内に入りました。
すると、秘仏本尊である十一面観音様がいらっしゃいましたので、まずは正面に立ち、手を合わせました。
観音様とご縁を結ぶ御手糸(結縁綱)です。石製宝珠に直接触れお参り下さい
とありましたので、結縁綱がつながった宝珠に触れ、櫟野寺の観音様とご縁を結びます。観音様を見ると、右手に結縁綱がつながっていました。
お寺の方がおられ、随時、観音像の説明をしており、その中で「2年前に東京国立博物館で展示をされた」と紹介していました。私も東京で鑑賞しましたが、観音様を見ていると、「お寺の方が落ち着く」と思っているように感じました。またお寺の方は「右手に数珠を握っているのは珍しい」と話していましたので、観音像を見ながら数珠を持つ理由を考えました。数珠は念仏などの回数を数えるために使われるので、観音様は苦から救った衆生の数を数えているのかなと思いましたが、どうもしっくりきません。良い解釈が出来た方は是非教えて下さい。
向かって右から左から、近くから遠くからと色々な場所から観音様を眺めましたが、正面の一番遠くからしゃがんで見たときが一番良いなと思いました。そこから見ると、観音様の慈悲が力強く伝わってきました。
最後に
「東京で鑑賞したので、訪れる必要はない」と考える方もいるかもしれません。仏像拝観を目的にお寺を訪れたとしても、五感を通して、仏像以外のものも無意識に感じ取っています。私も、忍電車、電車とバスから見た風景、お寺の方との会話、熱心に手を合わせている人々の姿などから様々なことを感じ取りました。それらの体験を経て仏像を拝観すると、また違った印象を受けます。ですので、訪れる価値は十分ありますよ。
櫟野寺の秋のご開帳には3年前に行きました。丈六で秘仏本尊の十一面観音坐像だけでなく、地蔵菩薩坐像や甲賀三大仏のお一人の丈六薬師如来坐像などほかの仏様も印象によく残りました。近いうちに再訪して大開帳で仏様のお姿を拝したいですね。
昨日はトーハクとサントリー美術館を訪ねたほか、三井記念美術館の『仏像の姿』も観覧しました。伽藍神像は改めて見て動きを感じさせる面白いお像だと思いました。雷神像と截金が施された地蔵菩薩立像と阿弥陀如来立像も印象的でした。不動明王半跏像も興味深かったですね。
大ドラさん、コメントありがとうございます。
33年に一度の大開帳は特別ですので、ぜひ櫟野寺に再訪してくださいね。観音様も大歓迎してくれると思います。
東博、サントリー美術館、三井記念美術館も訪れたのですね。「仏像の姿」は良い展示でしたので、今でも鑑賞した仏像の印象が強く残っており、挙げられた仏像もすぐに思い出せました。