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  1. 関西地方寺社巡り

大阪の歴史再発見 特別公開「正圓寺仏像群」に行きました

大阪市教育委員会により「大阪の歴史再発見」と題して、大阪市内にある寺院の仏像を特別に公開するイベントが行われており、天下茶屋聖天で知られる正圓寺に祀られている仏像群が7月20日から7月25日まで特別公開されることを知りました。正圓寺は以前、テレビ見仏記で見て、紹介されていた仏像に強いインパクトを受けたので、是非訪れたいと思い、最終日となりましたが、7月25日に訪れることにしました。

阪堺線

正圓寺の最寄り駅は阪堺(はんかい)線の北天下茶屋駅ですが、阪堺線には今まで乗ったことがありません。JR新今宮駅で下車し、阪堺線の新今宮駅前駅に行くと、ホームに誰もいません。「次の電車までかなり待つのではないか」と心配になり、時刻表を見ると、1時間に3本は電車が運行しており、一安心しました。

次の心配は「乗車方法が特殊ではないか」です。駅には改札がなかったのでどうやって乗り降りするのかと思いましたが、駅の掲示板に乗り方について詳しく書かれており、後扉から乗車してICカードをタッチ、降りる時は、前扉からICカードをタッチし降りるということで、バスと同様でした。ちなみに料金は全区間均一で210円です。電車の到着時刻近くになると人が集まり、電車に乗り、北天下茶屋駅で下車しました。

正圓寺

駅から少し歩くと、正圓寺に到着。入口には鳥居があり、まさに神仏習合のお寺です。

鳥居がある正圓寺入口

鳥居がある正圓寺入口

受付で観覧料(資料代)100円を払い、奥に進もうとすると、丁度、中から学芸員の方が出て来られ、「今から不動堂、聖天堂、釈迦堂の解説をします」とのことなので、解説を聞くことにしました。

不動堂

不動堂には、中央に不動三尊、向かって右に虚空蔵菩薩、左に毘沙門天三尊が祀られていました。不動明王坐像は右手に鉄で作られた本当の剣を持っているのが特徴です。本物の剣を持っているので、お願いする方も生半可な気持ちではダメだと言っているように感じました。

聖天堂

中央には、扉が閉ざされた厨子があり、その中に秘仏の歓喜天像が祀られています。像は双身で、一般に歓喜天の双身像は互いに抱き合い、それぞれの顔は異なる方向を見ていますが、こちらの像は同じ方向、つまり、参拝者の方を見ているとのことです。ですので、絶対秘仏ではなく、直接拝観されることを考慮して造ったのではないかとも考えられるそうです。向かって右側には十一面観音立像、左には歓喜天(大自在天)坐像が祀られており、歓喜天坐像はインパクトがありました。

釈迦堂

釈迦如来坐像、十六善神像、玄奘三蔵像、深沙大将像が祀られており、注目は十六善神像です。一般に十六善神といえば、四天王に十二神将を加えたものですが、こちらの十六善神像は多臂、つまり、手が複数ある像が含まれるので、四天王に十二神将を加えたものではないことになります(四天王と十二神将は二臂)。

では何かと言うと、真言八祖の一人である金剛智が編集した書に記載されている般若十六善神を基にしているのだそうです。その書はあまり流通していないそうで、そのような書を基にしているので、かなり力を入れて造立されたと考えられるそうです。やはり、聖天様を祀るお寺なので、聖天様のお力で財を得た人の援助が多くあったのでしょうか。

大師堂

中央に弘法大師坐像、向かって右に深沙大将立像、左に毘沙門天立像が祀られています。深沙大将立像は等身大で、大きいので、迫力がありました。正圓寺には全部で三体の深沙大将像が安置されています。

客殿

上記を拝観した後、最初に行く予定だった客殿に行くと、午後2時30分から開始予定の解説が少し早めに始まりましたので、聞くこととしました。正圓寺の特徴は、
・戦災にあっていない
・神仏習合のお寺
とのことです。大阪には京都、奈良に負けないぐらい仏像がありましたが、戦災により、その多くが失われてしまいました。しかし、正圓寺は戦災にあっていないので、多くの仏像が残り、また神仏習合のお寺なので、他のお寺にはない、珍しい仏像がたくさん現存しています。

客殿には多くの仏像が祀られており、どの仏像もインパクトがありました。しかし、その一つ一つを書くのは大変なので、印象に残ったベスト5を書きたいと思います。

木造天川弁財天曼荼羅

曼荼羅とありますが、画ではなく、厨子の中に多くの仏像がおられるものです。中央に蛇の顔をした大きな像が安置され、とてもインパクトがあります。三次元、つまり、画ではなく仏像としての蛇の顔をした天川弁財天像は正圓寺にしかないそうです。蛇の顔をしているので少し怖く感じますが、お顔を横から見ると、目がとても可愛く、印象が大きく変わりました。

木造大元帥明王立像

三面あり、正面は緑色で涼しいお顔をされており、向かって右は赤色、左は白色で、共に口を開けて、怒りの表情のように見えます。緑、赤、白は青龍、朱雀、白虎を表していると思うので、後ろにも顔があり、黒色(玄武)だと思います。正面は涼しいお顔をされていますが、かえってそれが怖さをより強く表しているような気がしました。

木造荼吉尼天騎狐像

顔は十一面観音のようで、頭上にも菩薩面がありますが、頭頂部には阿弥陀如来の代わりに宇賀神がいます。また迦楼羅の翼を持ち、口に宝珠をくわえた狐の上に乗っています。翼があるので、西洋のエンジェルのような印象を受け、様々な仏が習合したパワーのある仏様だと感じました。

木造童子形男子立像

亀の上に乗り、弓を引いて、目は弓で狙った先を見つめています。その姿から戦の神という印象を受けました。

木造歓喜天坐像

歓喜天像とありますが、童子の姿をしており、童子の頭の上に小さな象の顔が付いています。上述した聖天堂での説明で「直接拝観されることを考慮して造ったのではないか」と書きましたが、こちらの像が直接姿を拝観されることを前提に造ったのではないかと思いました。現代人が見ても象の顔をした仏像は衝撃を受けますので、江戸時代の人は更に衝撃を受けると思います。ですので、衝撃を和らげるために童子の頭に小さな象の顔をつけた像を造ったのではないかと思いました。

最後に

正圓寺の仏像群の特別公開は本当に訪れて良かったと思える素晴らしいものでした。江戸時代に造られた仏像ですが、正圓寺の仏像群を鑑賞すれば、江戸時代の仏像を低く見るようなことはしなくなると思います。

多くの人が来られていたので、きっと来年も特別公開があると思います。その時は訪れることを強くお薦めします。私も開催されるのであれば、また訪れたいです。

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