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東京国立博物館 月例講演会「江戸の仏像と近代の彫刻」を聴講しました

不忍池と弁天堂

東京国立博物館のメールマガジンで、特集「江戸の仏像から近代の彫刻へ」の紹介がありました。

江戸時代、仏像を造っていた仏師のなかには、その高い彫刻技術をいかして、近代以降、彫刻家に転身して、美術作品として彫刻制作を行うようになった作家もいました。幕末を代表する仏師の系譜を継ぐ高村光雲もそのひとりです。

明治維新は、美術にも大きな変革をもたらしました。本特集では、江戸から明治以降へ時代を追って展示をすることで、近代化に伴う彫刻表現の新たな展開をご紹介します。江戸と明治以降の彫刻を比べ、彫刻界の明治維新をご覧ください。

また、7月14日に月例講演会「江戸の仏像と近代の彫刻」が行われるとあり、興味を持ったので、14日に東京国立博物館を訪れることにしました。

JR上野駅で下車し、上野公園を通って、東京国立博物館へ。まずは本館14室の展示を鑑賞し、その後、講演会が行われる平成館大講堂に行きました。受付では資料と一緒に、トーハク講演会手帳をいただきました。トーハク講演会とは

あなたが月例講演会に参加した記録を残すための手帳です。

ということで、やっぱり、東京国立博物館はしっかりしているなと思いました。着席して開始を待っていると、時間どおりに始まりました。

講演会

江戸時代の仏像

平安時代は定朝様の穏やかな和様彫刻、鎌倉時代は慶派の写実的で量感豊かな彫刻というイメージがあるが、江戸時代の仏像はこれといったイメージがない。江戸時代、七条仏師が徳川幕府や朝廷をはじめ公的な造仏を担当していた。

本館では、七条仏師である康乗作の釈迦如来坐像、作者は不明ですが、寛永寺五重塔に安置されていた釈迦如来坐像、薬師如来坐像が展示されており、徳川幕府が当時一流の仏師に造らせただけあって、見事でした。

非専業仏師、例えば僧侶も仏像を造っており、円空、木喰明満、松雲元慶が有名である。松雲元慶は黄檗宗の僧侶である。黄檗宗萬福寺を開創した隠元は仏師・范道生(はんどうせい)を招聘し、范道生の造仏は黄檗様と呼ばれ、松雲元慶も黄檗様の仏像を造り、東京目黒にある五百羅漢寺に祀られている。

廃仏毀釈と文化財保護

明治元年3月、神仏判然令が公布。仏教排斥運動へ。その結果、造仏の需要が激減し、仏師は転職、廃業。
明治4年5月、古器旧物保存方が公布。文化財保護へ転換、作家の保護、奨励。
明治5年3月、湯島聖堂において、文部省博物館として博覧会を開催(これを東京国立博物館の創立としている)。

仏教排斥運動の結果、興福寺、東大寺、唐招提寺で今は国宝に指定されている仏像が部屋の片隅に置かれている写真が紹介され、当時の仏教排斥運動の激しさを感じました。

仏師から彫刻家へ

幕末の四巨匠として、松本良山、高橋宝山、高橋鳳雲、野村源光がいた。高橋鳳雲は高橋宝山の弟であり、弟子に高村東雲がいた。高村東雲の弟子が高村光雲である。高村光雲は明治26年のシカゴ万博に出品した「老猿」が妙技二等賞を受賞した。

高村光雲は有名ですが、仏師からの流れを知りませんでしたので、為になりました。講演会終了後、展示してある高村光雲作の老猿を見に行きました。明治を代表する素晴らしい彫刻です。

高村光雲作・老猿

高村光雲作・老猿

模造と創造

展示作品の充実と技術取得のため、有名な仏像の模造が推奨され、高村光雲のもと、竹内久一らが担当した。そこで得た着想をもとに新たな仏像の創造へつながった。

本館では、浄瑠璃寺の吉祥天立像、中尊寺の一字金輪坐像の模造が展示してあり、また法隆寺の救世観音像を基にした龍頭観音像も展示してありました。龍頭観音像は昭和に造られた仏像ですが、良い感じでした。

龍頭観音像

龍頭観音像

まとめ

2018年は明治維新から150年ということで様々なイベントが行われており、今回の月例講演会で江戸の仏像から近代の彫刻の流れを大雑把につかむことができ、有意義でした。作品は9月30日まで展示されていますので、機会があれば、訪れることをお薦めします。

追記

東京国立博物館のブログ(1089ブログ)に、特集「江戸の仏像から近代の彫刻へ」という記事が掲載されました。講演者である西木政統さんが書かれており、非常に分かり易い内容です。

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コメント

    • 大ドラ
    • 2018年 7月 15日

    日本の仏像ではどうしても室町期以前、特に鎌倉期以前の古仏に注目しがちになり
    ますね。江戸時代の仏像でさえも比較的新しい仏像に思えます。

    高村光雲の『老猿』は写真を見ると本当に迫力を感じますね。一度観覧したい彫刻作品だと思います。そういえば高野山開創1200年だった2015年に金堂現本尊の薬師如来坐像がご開帳で私もお姿を拝みました。あのお方も旧本尊などの平安仏の焼失後に再興された高村光雲作の仏像ですね。ただ旧本尊などが失われたのは惜しまれます。

    龍頭観音像はユニークなお姿ですね。私も写真を見て好感が持てます。

      • ラーマ
      • 2018年 7月 15日

      大ドラさん、コメントありがとうございます。

      高村光雲の老猿は360度から鑑賞でき、後ろもしっかりしていたのが印象に残りました。9月9日まで展示しているとのことですので、機会があれば是非どうぞ。

      過去の作品を学び、そこから発想を得て、新しい仏像を造立している方々の作品を鑑賞できた良い機会でした。

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