京都市東山区にある長楽寺の御本尊である「准胝観音像」は、長楽寺が805年に桓武天皇の勅命により創建されて以来、天皇陛下御即位の時に御開帳される秘仏です。
令和元年はもちろん天皇陛下が即位された年になりますので、5月1日から6月16日まで観音像が御開帳されます。この知らせを知って以来、必ず訪れようと考えており、6月1日に訪問することが出来ました。
長楽寺境内
長楽寺に到着すると、「奉祝 天皇陛下御即位記念 長楽寺 御本尊 准胝観音立像 御開帳」と書かれた白い布が掲げられており、気分が盛り上がります。
受付で天皇陛下御即位記念特別拝観料600円を払い、石段を上って本堂に行くと、結縁綱と角塔婆が目に入り、早速それらに触れ、観音様とご縁を結びました。堂内では御住職が説明をしており、椅子が用意されていたので、途中からですが着座して話を聞きました。
准胝観音は仏母と言われており、全てのものにとって母親的存在である。手は18臂あり、胸の前で合掌している手に結縁綱が繋がっている。
台座には2頭の龍がおり、これは最澄が中国から日本に戻る際、海が荒れ、難破しそうになった時、南無観世音菩薩と唱えると、龍が現れ、無事日本に帰国できたという寺伝に由来している。波のようなものも彫られている。
厨子は徳川秀忠の娘である東福門院和子の寄進で、扉に鳳凰、龍、獅子、象が彫られている。
向かって右側にはお前立ちの観音像、左側には布袋尊像が祀られている。布袋尊は笑っており、布袋尊のような笑顔の人が一人でも家にいれば、幸せになると言われており、京都では、家に小さな布袋尊を祀る習慣がある。
説明が終わった後、近くに寄り、観音像を拝観しました。准胝観音は六観音の中で人間界の衆生を済度する観音様なので、沢山の像が作られていても良さそうですが、聖観音像や十一面観音像に比べ、その数は圧倒的に少ないです。今までその理由が思いつかなかったのですが、像を拝観していると、桓武天皇の勅命により建立された長楽寺に遠慮して作製されなかったのかなと思いました。
また台座は非常に特徴的で、確かに2頭の龍がおり、波のようなものもありました。厨子の開かれた両扉に鳳凰、龍、獅子、象も刻まれていました。
次はお堂の向かって右側に移動し、お前立ちの観音像にお参り、像の近くには説明はありませんでしたが、伝教大師最澄作の弁才天像も祀られていました。
お堂の左側に移動すると、祀られている布袋尊が楽しそうに微笑んでおり、確かにこのような像が家にあれば、笑顔が絶えないだろうなと感じました。布袋尊の近くには法然上人像が祀られていましたが、一般的な法然上人とはかなり印象が異なるものでした。
最後に
お堂を出た後、もう一度、結縁綱と角塔婆に触れ、令和が良い時代であるよう願いました。今回御開帳時に訪れることができ、本当に良かったです。残り期間は少ないですが、一人でも多くの方々にお参りして欲しいです。
お久しぶりにコメント致します。
私はGW中の先月4日に京都で、安祥寺と随身院、長楽寺の特別公開を訪ねて、長楽寺で新天皇即位時のご開帳のご本尊、准胝観音像のお姿を拝してきました。収蔵庫も公開中で、安徳天皇の遺品の衣を仕立て直したという幡や崇徳院の念持仏だったとされる阿弥陀三尊像、一遍上人像などの高僧像などを拝観しましたし、銀閣の庭園を造園する前の試みの庭園もあるので、それも拝観してきました。ボランティアの京女の学生さん達がわかりやすく説明してくれて質問にも親切で丁寧に答えてくれたのがよかったですね。
その日は長楽寺で石段に長い列ができていたのには驚きました。拝観受付まで20分か30分ほど列で待ちましたが、列の中ほどでボランティアの学生さんが御朱印申し込みの受付をしていて、新天皇即位記念の御朱印を頂きました。
准胝観音像は確かに造像例が少ないですね。これまで私はほかに、千本釈迦堂の六観音の一躰と、滋賀の長浜で木ノ本の黒田観音寺の伝千手観音像の准胝観音像程度しかお姿を拝した覚えがないですね。
大ドラさん、コメントありがとうございます。
5月4日に拝観されたとは、さすがお早いですね。
私も本堂拝観後、収蔵庫を訪れ、阿弥陀三尊が一番良かったです。勢至菩薩が向かって右を向いた良いお姿をしており、阿弥陀三尊では通常では一番目立たない勢至菩薩が一番印象に残りました。
准胝観音像は醍醐寺の像も大ドラさんならば拝観していると思いますが、どうですか。