仁和寺で五大明王壁画が公開されるというニュースを知り、五大明王好きとしては必ず訪れようと思いました。
京都新聞:370年前そのままの色鮮やかな明王 京都・仁和寺で初公開
京都市右京区の仁和寺で10月13日、金堂(国宝)の北側部分に当たる空間「裏堂」の初公開が始まった。壁面には約370年前に描かれた5体の明王の絵があり、色鮮やかな憤怒の形相を間近で見ることができる。金堂は江戸初期に京都御所の紫宸殿(ししんでん)を移築した建物。絵は本尊・阿弥陀三尊背後の壁面の裏側にあり、1646(正保(しょうほう)3)年の伽藍(がらん)再建完成後の間もない時期に絵仏師木村徳応らが、仏法を守る願いを受けて描いたとされる。
絵は高さ2・2メートル、奥行き約15メートルの壁にあり、不動明王を中心に五大明王が青や赤などの絵の具で描かれている。裏堂には日光が差し込まなかったため、完成当時とほぼ同じ鮮明な絵が見られる。
今年、瀬川大秀門跡(71)が就任したことを記念し、同寺が公開を決めた。公開に先立ち読経した瀬川門跡は「色が残っており迫力がある。みなさんに拝んでいただきたい」と話した。公開は12月16日まで(行事のため休止日あり)。拝観料800円、高校生以下無料。
仁和寺へ
今回は京福電鉄に乗り、御室仁和寺駅で下車しました。正面に仁和寺の立派な山門が見え、山門をくぐり、境内に入ると、チケットを購入する長い列があり、今まで何度か仁和寺を訪れていますが、そのような列は見たことがなく、少し驚きました。
注意:仁和寺の境内に入るだけでしたら無料です。特別公開の拝観を希望する場合は有料となります。
金堂
特別公開のチケットを購入し、境内の奥に向かって、歩を進めます。途中、紅葉が綺麗でしたが、まずは拝観ということで、金堂へ。金堂に到着し、中に入ると、お寺の方がおられ、前に何人か座っており、話がありそうだったので、着座してしばらく待っていると話が始まりました。
金堂の中に入るには、以下の3つ方法があるそうです。
(1) 宿坊に泊まって、朝のお勤めに参加する
(2) 御室派の檀信徒として、檀家の住職と一緒にお参りする
(3) 市からの要請
また、金堂は国宝で、中央に阿弥陀三尊、周囲に四天王、梵天、帝釈天、天燈鬼、龍燈鬼などが祀られています。天燈鬼、龍燈鬼は興福寺が有名ですが、それらが祀られているのが珍しいなと思いました。
今回の五大明王壁画の公開は、6月23日に第51世の門跡が就任されたお祝いで、51世と言うことで、51日公開するそうです。仁和寺は台風による被害も甚大でその修復費用として、今回の拝観料800円を使うとのことです。しかし、それでも足りないので、来年、観音堂を特別公開し、その拝観料は少し値段が上がって1000円ですが、記念品付きだそうです。
正直に今回の拝観料を台風による被害の修繕に使うという発言に好感を持ちました。京都の秋の特別公開ではなぜか値段が800円というところが多いですが、800円といえば、結構な値段です。何に使われるか分からないよりも、台風被害の修復に使うと話してくれたほうが払う側も気持ちよく喜捨できます。
観音堂には風神、雷神像が祀られています。風神は手の指が4本だそうで、これは、東西南北を示し、各方向から来た悪いものを吹き飛ばす意味があるそうです。一方、雷神は3本で、過去・現在・未来の三世を表し、どこに居ても、光を与えてくれることを意味するそうです。また足の指に関しては、風神、雷神どちらも2本であり、天と地を表し、天と地の間にいるものを守護する意味があるそうです。観音堂の風神、雷神は東京国立博物館の展示で拝観しましたが、指の数までは確認していなかったので、来年訪問した時は確認して、ここに書いた話を思い出したいと思います。
金堂の正面の拝観が終了し、次は五大明王壁画が描かれている裏側に移動します。裏側に到着すると、
・金剛夜叉明王
・降三世明王
・不動明王
・軍荼利明王
・大威徳明王
の順番に画が描かれていました。京都新聞の記事内に「裏堂には日光が差し込まなかったため、完成当時とほぼ同じ鮮明な絵が見られる」とありますが、正にそのとおりで、372年前に描かれたとは思えない鮮明さでした。
五大明王の中では不動明王が印象に残りました。不動明王が持っている剣が冷たく感じられ、火焔光背の赤色と肌の青黒色が「暖」と「寒」を表し、手に持つ剣と頭の後ろに描かれている円が「寒」を更に強調する「冷」になっているように思いました。「暖」燃えるような心、「寒」冷静沈着な心はどちらも必要ですが、冷静沈着な心が少し多いぐらいの方が物事が上手くいくと教えてくれているように感じました。
紅葉
五大明王壁画を拝観した後は、紅葉を楽しみました。晴天の空の下、紅葉がとても綺麗でした。来年の観音堂の特別公開も必ず訪れようと思います。
追記
観音堂を特別公開している仁和寺へ訪れた時の感想を以下に書いています。
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